小沢考~日本改造の手がかり

2007/07/30

ニュース

76f50ac0.jpg小沢一郎である。
今回の参議院選、半ば自民自滅の形で民主の大勝利となったわけだが、やはり小沢の手腕を誉めざるをえまい。
小沢一郎は、結局1998年の結党以来10年もただの烏合の衆だった民主党を、ひとつの大きなリベラル勢力としてハッキリと国民に示した。もっとも小沢の民主党入党は自由党合流の2003年からなので、5年足らずで民主党の方向性を作り上げたといっても過言ではあるまい。


民主党は、そもそも明確な支持母体が貧弱だった。結局旧社会党系の支持母体頼みとなり、中心を社会党系議員で占められた。結果として、親北朝鮮、左派(親韓、親中)路線を継承させられていた。
そんな状態では自民党出身議員は反発するし、確固たる「民主党独自」の路線も打ち出せないまま、うだうだと5年過ごしていたわけだ。

そんな中、2003年に自由党の小沢が合流する。当然民主党(の左派勢力)は大反発。が、小沢の選挙実力欲しさに結局合流。このあたりも、民主がなにを軸にしたらいいのか不明瞭であったことの証明といってもいい(もっとも、小沢側からの政策すり寄せがあったこともあろうが)。

小沢は、自民党の大幹事長だった時代からリベラルな考え方をもった人物だった。それは著書の「日本改造計画」からも読める。
そもそも、自民党は弱者(主に農家)優遇政策を実行して地方での基盤をガチガチに固めていた党であり、今日の「都会の富栄養化」を促す自民党とはやや趣が違ったけどね。

今回の2007/7参議院選挙で民主党の打ち出した政策は、小沢の得意とするリベラルな政策をふんだんに盛り込み自民党の持つ農家票田を切り崩した。
50年以上自民党に投票し続けた農家のじーさんに「今回は民主にしてみっか」と思わせるというのは、非常にすごいことだと俺は思う。それを首尾一貫して「民主党」の姿勢として全国的に貫かせたのは、小沢の力だと俺は信じている。

小沢は、アメリカ型2大政党の構図を日本にうまく持ち込むことに成功した。自民党の弱者切捨て理論がそれに拍車をかけた。
富裕層=自民党(アメリカでいう共和党:ブッシュ)
貧民層=民主党(アメリカでいう民主党:クリントン)

この構図だ。
民主党は農家の所得保証政策(実現性は極めて懐疑的)や、社会保障面での拡充、緊縮財政指向、格差是正などを打ち出した。これは従来の民主党に感じられた「うさんくささ」「きな臭さ」がかなり和らいでおり、
「結局自民に反対しているだけじゃん」
というイメージをだいぶ払拭できているものと思う。

実際、自民党vs社会党の構図のときは、国民は反自民を意思表明する場合に「日本共産党」に入れた。
消費税選挙のとき、日本共産党は大躍進したことがそれを示している。
しかし今回民主は、今の日本にうずまく「反自民」の流れを吸収するに足るべき土台となった。これは非常に重要で、いままでの民主が目指していながらもその器が足らずにいた部分である。

もちろん民主党にはまだまだ鬱屈した極左勢力も混ざりこんでいる。その混沌から抜け出すには、長い長い時間がかかる。そればかりは時間が解決してくれることを祈るしかない。また、前原のような中道右派勢力が民主党内で大きな勢力であることも民主党の浄化を推進してくれていると信じている。
小沢、そして前原の力(もっといえば、それに続くであろう民主党内の優秀な議員たち)によって、民主党はただの親韓、親中を妄信する極左勢力とはならず、アメリカ民主党のようなリベラル政党へと変身しつつある。
今後の民主党には期待できる、僕の心にそんな考えが芽生え始めた参議院選挙でしたとさ。


追伸
昨日テレビで田原総一郎が「小沢さんは死に物狂いで衆議院解散に追い込んでいくはずだ」と言っていた。そのときは、どうやったら不信任決議案通せるんだよと思っていたが、今の自民党を見限る会派が自民党内にいるかもしれない(また、田原はそれを知っていて言っているのかもしれない)。
公明を抱き込み、自民の一会派を抱き込めば民主は不信任決議案を通せるだろう。小沢自信の健康不安からも、もしかしたら小沢は今しかないと思って死に物狂いでやってくるかもしれない。そうなれば、実に面白い。
政権奪取、それが小沢のストーリーで、それが実現したらと思うとドキドキもする。
かつて「一番総理に近い男」と言われた小沢が、遠回りして紆余曲折しながらも結局一国の首相になるというこのストーリー、小説にだって描けなかっただろう。

ただ、もしそうなったとしても公明や自民勢力を抱き込んだ民主に身動きはとれなくなり、やっぱり落ちぶれていくんだろうなぁ……とは思う。
小沢があと5年やれるだけ体力があるならば、民主党は化けると思う。ぜひじっくりと腰をすえて、リベラル政党として確固たる路線を歩み続けて欲しいものだ。

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